たこ酢のタコス

タコ壺をタン壺代わりに。 掃き溜めでタコスミパスタを。言いたいことを吐き出す甘酸っぱくてスパイシーなブログ

【映画】ワンダー 君は太陽【実話?】あらすじと、ネタバレ感想まとめ。「同情」がテーマの作品です

「ワンダー 君は太陽」は2012年ベストセラーになった「ワンダー」の映画化で、著者の実体験を元にしたフィクションのお話。

 

ただ、この物語の主人公オギーを取り巻く環境、空気感。

それは間違いなく誰もが一度は経験したことのある、ノンフィクションです。

 

 

登場人物とあらすじ

この映画の一番のテーマは「同情」

主人公オギーを中心に、関わる人にフォーカスを当て、どんな思いをもって、どう生きていくかが描かれている作品です。

 

簡単なあらすじを踏まえて、主要人物の紹介をしていきます。

オギー・プルマン

宇宙飛行士の帽子を被った、スターウォーズが大好きな男の子。

「トリーチャー・コリンズ症候群」という顔の形が変形してしまう病気をもって生まれ、普通の顔に近づくため、27回もの手術を受けてきた。

 

手術のキズや変形のある自身の顔にコンプレックスを持ち、出かける時は宇宙飛行士の帽子を被り、学校へは通わずに母イザベルと自宅での学習をしていた。

 

ヴィア

弟のことが大好きで、両親から「世界一手の掛からない子」と言われるオギーの姉。

弟・オギーに注がれる両親からの愛情に嫉妬するが、弟が中心の生活になるのはしょうがないと理解していた。

幼馴染のミランダと、亡くなってしまった祖母はヴィアを一番に考えてくれていて、それが彼女の支えだった。

たが進学し、よそよそしくなった親友ミランダの態度に困惑。自分の居場所を無くしてしまう。

 

イザベル

イラストレーターと美術の先生になることが夢の母親。

オギーの出産を機に、絵を描くことや執筆中の論文など自分の夢を封印。オギーを一番に考えて生きてきた。

学校に行けないオギーの家庭教師を務めていたが、このままでは良くないと、10歳になったオギーを学校に行くよう説得する。

 

ネート

常に明るく、真面目で男らしい一面と、寛容的なユルさをもった父親。

オギーに、ヴィアに、父親でありながら友達のような距離感で接することのできる、家族の潤滑油的存在。

見た目に、心に、問題を抱えている一家だが、それが爆発せずに過ごせているのは彼が弱さを見せないおかげで、言葉には出さないが家族全員が尊敬し、感謝している。

 

 

イメージを裏切って、期待を裏切らない作品

結論から言うと、見る前のイメージとは全く違ったよね。

こんなの、いかにもなお涙頂戴じゃないですか。

人とは違うことに悩むオギーが

「苦しいよ。辛いよ。でも頑張るよ」

うん。頑張れオギー、負けるなオギー。うぅぅううぅぅっ。

 

って進んでいくものかと思うじゃん。

 

でも違うんだよね。

オギー視点だけで物語が展開しないの。

話の柱はオギー。でも取り巻く人物たちの描写が用意されてて、それが切り替わっていって絡み合ってく。

どのキャラクターにも「同情」できるように作られてる。

 

だから、この映画に大きな裏切りはない。

こうなるんだろうなっていう展開のままクライマックスを迎える。

 

 

 

10歳になったオギーが学校に通い始めるところから、物語は始まる。

 

純粋な小学生。特異な存在のオギー。

そこに待っているのは、そう、いじめ

 

 

 

小学生の時なかった?ちょっと人と違うことが起きるだけで大騒ぎすること。

トイレでうんちするだけで、何とか菌だー。とか、ちょっとどんくさい子とかを、鬼ごっこでハメたりとか。

 

特異な存在にならないことが、あの小さなコミュニティでの生きる術だった。

弱い立場にも、逆にいじめの主犯格みたいな強い立場になってもダメ。

どっちにしても出る杭は打たれてた。

 

でもどっちの立場にも人は寄ってくるもので。

僕はどっちかと言えば両立思考で、いじめに加担したくないけど、浮くのもいやだから、おふざけ程度のことはしてた。

 

その思考はどこからって、「同情」でしかないんだよね。

自分もいじめまでいかないけど、ハブられたりしてたから気持ちはわかる。

けど、自分も可愛い。嫌われたくない。

まあ都合いいんだけどさ。

 

 

 

ワンダーで言うと「ジャック」がそういう子。

いじめっ子側にいるんだけど、どこかにこれじゃダメだって思ってる部分もある。

だけどいい顔するのをやめる勇気がない。

でもオギーに会って、成長していく。

 

いじめっ子の「ジュリアン」もそう。

いじめをする方にも悩みはあって、彼は両親に愛情を受けてない。

どこか空っぽの気持ちを埋めるために、自分が自分でいられるために、いじめをする。

 

オギーをいじめる側、それに疑問をもっている側の心理描写もしていく。

だからよりオギーに対して他人事ではいられない。

学校って小さな括りだけでも、多くの人物の考えが見えてくる。

 

 

姉のヴィアはいい子になりすぎて悩みを抱え込んでる。

弟が欠点を持っていることで、両親はオギー、オギー。

自分を第一にしてくれることはなかった。だけど文句は言えない。オギーは自分も大事だし、母も夢を中断してオギーに向き合ってる。

何も言えない。良いお姉ちゃんを演じ続けて生きてきた。

けどもっと自分を見てほしい、って。

 

そんなときに支えになるのは、自分を一番だと言ってくれた亡き祖母の記憶と、幼馴染のミランダ。

だけどミランダも進学を機に変わってしまって、自分の居場所がぜんぶ無くなっちゃう。

 

そのミランダも変わってしまった理由も、必死に自分を守ろうとした結果で。どうしようもなくて。

 

両親の描写にしてもそう。

自分が母親だったら、父親だったら、こういう風に生きるんだろうなって。

 

いい意味で、期待を裏切らないんだよね。

期待を裏切る映画って見てて楽しいし、どんな展開があるのか気になって、ワクワクする。

けど、期待を裏切らない映画ってのも楽しいんだなって思った。

それって期待を裏切ることより、すごく難しいことだし、登場人物と共感できなきゃいけない。

 

この映画は、フィクションなんだけど心の動き、投影した自分を重ね合わせると、ノンフィクションになる。

すべての人物が主人公で、自分。

それがこの映画の凄いところ。素直に笑えて、泣ける。

 

 

「ワンダー 君は太陽」は大人に見てほしい 

オギーの勇気と取り巻く環境、どこか懐かしい学校生活に、出てくる大人と自分の対比。

大人が素直に見られる映画。

自分の追体験に近く話が進むから、頭を使わずに没入できます。

2018年公開の作品ですが、もうU‐NEXTで配信されてます。

おすすめです。僕は、見てよかったと思ってますよ。